
売れるECサイトの作り方とは?企画からオープンまで7つのステップ
売れるECサイトの作り方とは?企画からオープンまで7つのステップ
ECサイトを立ち上げたいけれど、「何から始めればいいのかわからない」「売れるサイトにするにはどうすればいいの?」と悩んでいませんか?
私たちFITONLINEは、これまで50件以上のShopifyサイト構築に携わり、年商80億円を誇るコーヒー企業様のECサイト開発や、保守担当期間3年で売上比391%アップを達成した実績があります。また、自社で運営するShopifyサイトでは、広告費を一切かけずに運用1年ほどで月間5万PVを達成しました。
この記事では、そうした経験から得た知見をもとに、売れるECサイトを作るための7つのステップを詳しく解説します。企画段階から公開後の運用まで、実践的なノウハウをお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
売れるECサイトとは?成功の3つの柱
まず、「売れるECサイト」とは何かを明確にしておきましょう。単に売上高が大きいだけでなく、持続可能で予測可能な成長を実現するビジネスモデルを構築することが不可欠です。その根幹を成すのが、以下の3つの柱です。
1. 高いリピート率:顧客生涯価値(LTV)の最大化
安定した収益基盤を築く上で最も重要なのがリピート率です。一般的に、売上の8割は2割の優良顧客によってもたらされる「パレートの法則」が知られており、この「2割」こそがリピーターです。
新規顧客の獲得コストが年々増大する現代において、リピート率の向上は単なるマーケティング施策ではなく、安定的で予測可能な収益を確保するための根源的な経営戦略となります。
成功事例として、ユニクロやカメラのキタムラは、単なる商品販売に留まらず、購入後の顧客エンゲージメントを通じて「ファン化」を促進しています。フォトコンテストやスタイリングアプリを提供することで、顧客との継続的な接点を創出し、長期的な関係性を構築しています。
2. 高いコンバージョン率(CVR):訪問者を顧客に変える力
コンバージョン率(CVR)は、サイトに訪れたユーザーが実際に商品を購入する割合を示す指標であり、ECサイトの有効性を測る上での最重要指標です。本記事で解説する7つのステップは、最終的にこのCVRを最適化することを目的としています。
サイトのデザイン、商品説明、ユーザー導線、決済のスムーズさなど、あらゆる要素がコンバージョン率に直接影響を与えます。業界平均は1〜3%とされていますが、改善の余地は常に存在します。
3. 強固なブランドエクイティ:価格競争を超えた価値
現代の消費者は、単に製品の機能や価格(モノ)だけでなく、その背景にある物語やブランドの価値観(コト)に共感を覚えて購入を決定する傾向が強まっています。
成功するECサイトは、製品そのものだけでなく、ブランドの物語、サステナビリティや多様性といった倫理的な配慮、そして一貫した高品質な顧客体験全体を提供します。これにより、価格競争に陥らない強力なブランドエクイティ、すなわち顧客からの信頼という無形の資産が築かれます。
※これら3つの柱は独立しているわけではなく、深く相互に関連しています。強力なブランドストーリーは購入時の心理的障壁を下げてCVRを向上させ、優れた顧客体験が次の購入、すなわちリピートへと繋がります。
それでは、こうした「売れるECサイト」を実現するための、具体的な7つのステップを見ていきましょう。
ステップ1:市場調査とコンセプト設計
ECサイト構築の第一歩は、市場調査とコンセプト設計です。ここを疎かにすると、後から軌道修正が困難になります。実際、私たちが関わった成功事例の多くは、この段階で十分な時間をかけています。
ターゲット顧客の明確化:ペルソナ設定の実践
効果的なマーケティングの第一歩は、顧客を深く理解することです。多くの事業者が「ターゲット」と「ペルソナ」を混同していますが、両者には明確な違いがあります。
「ターゲット」は「30代女性」といった広範な属性で顧客層を捉える考え方です。一方、「ペルソナ」は、その中から一人の具体的な人物像を詳細に描き出す手法です。
例えば、Soup Stock Tokyoが設定した「秋野つゆ」というペルソナは、実在するかのような詳細なプロフィールを持つことで、商品開発から店舗デザインまで、あらゆる意思決定の指針となりました。
データに基づいたペルソナ作成の3ステップ:
- ステップ1:情報収集 - Google Analyticsなどのウェブ解析ツール、顧客アンケート、インタビューを通じて、既存顧客のデモグラフィック(年齢、性別、居住地など)とサイコグラフィック(ライフスタイル、価値観、悩みなど)のデータを収集します。
- ステップ2:骨格の作成 - 収集したデータから共通項を抽出し、ペルソナの基本的な属性(年齢、職業、家族構成、年収など)を定義します。
- ステップ3:物語の肉付け - 基本属性を基に、その人物の1日の過ごし方、趣味、情報収集に使うメディア、抱えている課題や悩みといった具体的なエピソードを加え、人格に深みを与えます。
ペルソナ設定項目の一覧:
項目 | 設定内容の例 |
---|---|
デモグラフィック | 氏名、年齢、性別、居住地、職業、年収、家族構成 |
サイコグラフィック | 性格、価値観、ライフスタイル(平日・休日の過ごし方)、趣味、悩み |
目標と動機 | 人生やキャリアにおける目標、商品購入を通じて達成したいこと |
課題とペインポイント | 日常生活や購買行動における不満や障害 |
情報収集 | よく利用するSNS、雑誌、ウェブサイト、影響を受けるインフルエンサー |
購買プロセスにおける役割 | 自身が意思決定者か、他者の影響を受けるか、など |
例えば、アパレルブランドが「渋谷の大学に通う22歳の『あかりさん』。カフェ巡りが趣味で、Instagramで韓国ファッションのトレンドをチェックしている」といったペルソナを設定することで、「あかりさんが友人とカフェに行く時に着たくなる服は何か」「彼女が共感するInstagramの投稿はどのようなトーンか」といった具体的な施策に落とし込むことが可能になります。
競合分析とポジショニング:SWOT分析の活用
自社の立ち位置を客観的に把握するためには、内部環境と外部環境を体系的に分析するフレームワークが不可欠です。その代表的な手法がSWOT分析であり、自社の強み (Strength)、弱み (Weakness)、市場の機会 (Opportunity)、脅威 (Threat) の4つの要素を洗い出します。
例えば、地方の酒蔵がECサイトを立ち上げるケースを想定してみましょう:
- 強み (S): 地元産の希少な米を使用した独自の製造法、地域での高い知名度
- 弱み (W): EC運営の専門知識を持つスタッフがいない、オンラインでの集客力が弱い
- 機会 (O): 海外での日本酒ブーム、コロナ禍以降のEC需要の高まり
- 脅威 (T): 大手リカーショップのECサイト参入増加、若者層のアルコール離れ
しかし、これらの要素を洗い出すだけでは不十分です。重要なのは、それらを掛け合わせて具体的な戦略を導き出す「クロスSWOT分析」です。
機会 (O) | 脅威 (T) | |
---|---|---|
強み (S) |
S-O戦略:強みを活かして機会を最大化する (例:独自の製造ストーリーを訴求し、海外の日本酒ファンにアプローチする) |
S-T戦略:強みを活かして脅威を回避する (例:大手にはない「蔵元直送」の希少性を訴求し、価格競争を避ける) |
弱み (W) |
W-O戦略:弱みを克服して機会を掴む (例:ECサイトを構築し、営業人材不足を補いながら全国の顧客にアプローチする) |
W-T戦略:最悪の事態を避けるための防衛策 (例:EC運営代行サービスを利用し、競合のデジタルマーケティングに対抗する) |
競合サイト分析の主なチェックポイント:
- 商品ラインナップと価格帯
- サイトのデザインとユーザビリティ
- 配送オプションや返品ポリシー
- SNSやコンテンツマーケティングの取り組み
- 顧客レビューや評判
- SEO対策の強度(検索順位、流入キーワード)
USP(独自の強み)の策定
ターゲットと競合が明確になったら、自社の独自の強み(USP:Unique Selling Proposition)を言語化します。
USPとは、「競合ではなく、自社から購入すべき独自の理由」を顧客に提示する、マーケティングの中核概念です。効果的なUSPは、以下の3つの要素を満たす必要があります:
- 顧客への利益 (Benefit):製品・サービスが顧客にどのような明確な利益をもたらすかを提案する
- 独自性 (Unique):競合他社が模倣できない、あるいはしていない提案である
- 強力さ (Strong):多くの顧客の心を動かし、行動を促すほど魅力的である
USPを見つけるための切り口:
- 商品の品質や機能性
- 価格競争力
- 独自の製造方法やストーリー
- カスタマーサービスの充実度
- 配送スピードや梱包の丁寧さ
- サステナビリティや社会貢献への取り組み
戦略策定のプロセスは、ペルソナ、SWOT、USPが相互に連携するループ構造をしています。まず、ペルソナ分析によって顧客の深いニーズ(例:「他の人とは違う、個性的なファッションを楽しみたい」)を特定します。このニーズは、SWOT分析における「市場の機会」として認識されます。次に、自社のリソース(例:オリジナルデザインを企画できる能力)が「強み」となり、クロスSWOT分析を通じて「自社のデザイン力(強み)を活かし、個性的なファッションへの需要(機会)に応える」という戦略が導き出されます。最終的に、この戦略が「ここでしか手に入らない、職人によるハンドメイドデザイン」といった顧客向けのUSPとして言語化されるのです。
例えば、私たちFITONLINEが運営する自社サイトでは「Shopify構築の実績50件以上の知見を活かした、実践的な情報発信」をUSPとして、月間5万PVを達成しました。
ステップ2:取扱商品と販売戦略の決定
コンセプトが固まったら、次は具体的な商品ラインナップと販売戦略を決定します。この段階で、事業の収益性が大きく変わります。
戦略的商材選定:収益性を最優先に
ECサイトの成否は、取り扱う商品(商材)に大きく左右されます。商品選定においては、単に「売れそう」という直感だけでなく、データに基づいた戦略的な視点が不可欠です。
商材選定の5つの基準:
- 市場ニーズがあるか:検索ボリュームやSNSでの話題性を調査。海外のECサイトをリサーチし、まだ日本国内で販売されていない商品を発掘するアプローチも有効です。
- 競合が少ないニッチな分野か:ブルーオーシャン市場を狙う
- 利益率が確保できるか:仕入れコストと販売価格のバランス(後述の「3・3・4の法則」参照)
- リピート購入が見込めるか:消耗品や定期購入商品は収益安定。顧客生涯価値(LTV)を最大化できる
- 配送コストが適正か:サイズや重量が配送費に大きく影響。小物はメール便で送料を削減可能
EC事業の利益率目安:
最も重要なのは収益性の分析です。EC事業における利益率の目安として、営業利益率で約20%を確保することが一つの目標とされています。
これは、売上構成を「商品原価3割、販売促進費3割、その他経費・利益4割」とする「3・3・4の法則」のような経験則に基づいた指標です。
※多くの事業者が陥りがちなのが、市場価格から販売価格を決め、残った額でコストを賄おうとするアプローチです。しかし、持続可能な事業を構築するためには、まず目標とする利益率を定め、そこから逆算して販売価格と許容できる仕入れ原価を決定する「利益先行」のアプローチが推奨されます。
私たちの経験では、初期は商品数を絞り込むことをおすすめします。少数精鋭の商品で運用を始め、データを見ながら徐々に拡大していく方が、在庫リスクも抑えられます。
価格戦略の立案:心理学を活用した価格設定
価格は単なる数字ではなく、顧客の購買意欲を左右する強力なマーケティングツールです。購買決定の95%は無意識下で行われるとされ、心理的なバイアスが大きく影響します。
基本的な価格設定アプローチ:
- コストベースの価格設定:原価+利益を積み上げる方法
- 競合ベースの価格設定:市場価格を参考にする方法
- 価値ベースの価格設定:顧客が感じる価値に基づく方法(プレミアム戦略)
心理的価格設定戦略の詳細:
戦略名 | 原理 | 活用例 |
---|---|---|
端数価格 (Charm Pricing) |
2,000円ではなく1,980円のように、価格の末尾を「9」や「8」にすることで、実際の価格差以上に安く感じさせる心理効果 | 日用品やアパレルなど、価格比較がされやすい商品 |
名声価格 (Prestige Pricing) |
意図的に価格を高く設定することで、品質の高さや高級感、希少性を演出し、所有欲を刺激する | 高級ブランド品、宝飾品、限定品など |
アンカリング効果 | 「通常価格 10,000円 → 特別価格 7,980円」のように、最初に高い価格(アンカー)を提示することで、次に示す価格を割安に感じさせる | セールやプロモーションで頻繁に利用 |
抱き合わせ価格 (Bundle Pricing) |
複数の商品をセットにして単体購入の合計額より割安な価格で提供し、顧客単価(AOV)の向上と在庫消化を狙う | ファストフードのセットメニュー、化粧品のトライアルキット |
松竹梅の法則 (Price Lining) |
3段階の価格帯(例:3,000円、5,000円、10,000円のギフトセット)を用意すると、中間の価格帯が最も選ばれやすくなる心理効果(極端の回避性) | サービスプラン、ギフト商品など |
さらに、Amazonなどの大手ECプラットフォームでは、需要と供給、競合の価格動向、時間帯などの要因に基づき、リアルタイムで価格を変動させるダイナミックプライシングも積極的に活用されています。
フルフィルメントモデルの戦略的選択
商品を顧客に届けるまでの物流・在庫管理モデルの選択は、事業のコスト構造、顧客体験、そしてブランド戦略そのものを規定する重要な決定です。
3つのフルフィルメントモデル:
-
ドロップシッピング:在庫を持たずに販売し、注文が入るとメーカーや卸売業者が顧客に直接商品を発送するモデル
- メリット:在庫リスクがなく、極めて低い初期投資で事業を開始できる
- デメリット:誰でも同じ商品を扱えるため価格競争が激化しやすく、利益率が低い。在庫状況や配送品質を自社でコントロールできない
-
ジャストインタイム (JIT):在庫を最小限に抑え、必要な時に必要な分だけ商品を仕入れるモデル
- メリット:在庫保管コストを削減し、キャッシュフローを改善
- デメリット:需要の急増やサプライチェーンの遅延が発生した場合、欠品リスクが非常に高い。サプライヤーとの高度な連携が不可欠
-
従来型(在庫保有)モデル:自社で商品を仕入れ、在庫として保管・管理するモデル
- メリット:オリジナル商品の開発や独自商品の仕入れが可能で、ブランドの差別化が容易。梱包や配送プロセスを自社で管理でき、高品質な顧客体験を提供可能
- デメリット:仕入れ費用や在庫保管コストが発生し、売れ残りリスクを抱える
事業成長に応じたモデルの進化:
これらのフルフィルメントモデルの選択は、単なるオペレーション上の決定ではありません。ドロップシッピングは低リスクで市場を検証するには最適ですが、利益率が低く差別化が困難なため、価格競争に陥りやすくなります。
一方で、自社で在庫を持つ従来型モデルは、初期投資とリスクは高いものの、独自の価値を提供し、価格競争から脱却してブランドを構築する基盤となります。最初はドロップシッピングで市場の反応を試し、成功の確信が得られた段階で独自商品の在庫保有モデルへと移行するなど、戦略的にフルフィルメントモデルを進化させることが、持続可能な成長の鍵となります。
在庫管理で決めておくべきこと:
- 最小発注ロット数と仕入れ先の選定
- 適正在庫量の設定(売上予測に基づく)
- 在庫管理システムの導入(Shopifyと連携できるツール)
- デッドストック対策(セールやアウトレット販売の方針)
ステップ3:ECプラットフォームの選定
商品と戦略が決まったら、次はどのプラットフォームでECサイトを構築するかを選定します。これは今後の運用コストや拡張性に大きく影響する重要な判断です。
Shopifyを選ぶべき理由
私たちFITONLINEは、Shopify専門として5年間、50件以上のサイトを構築してきました。その経験から、Shopifyをおすすめする理由は以下の通りです。
- 初期費用が安く、すぐに始められる:月額数千円から開始可能
- デザインの自由度が高い:テーマのカスタマイズで独自性を出せる
- 拡張性に優れている:アプリで機能追加が簡単
- SEOに強い:構造化データやページ速度が最適化されている
- 越境ECにも対応:多言語・多通貨対応が標準装備
- セキュリティが万全:PCI DSS準拠で安心
実際、私たちが保守を担当したShopifyサイトでは、3年間で売上が391%アップしました。プラットフォームの使いやすさと機能性が、スムーズな運用と成長を支えました。
Shopifyの料金プラン(2024年時点):
プラン名 | 月額料金(月払い) | 年払い(月換算) | スタッフアカウント数 | 主な対象 |
---|---|---|---|---|
スターター | 750円 | - | なし | SNS販売・リンク決済のみ |
ベーシック | 4,850円 | 3,650円 | 2人 | 個人事業主・小規模店舗(月商〜500万円) |
スタンダード | 13,500円 | 10,100円 | 5人 | 中規模ビジネス・実店舗連携(月商〜2,500万円) |
プレミアム | 58,500円 | 44,000円 | 15人 | 越境EC・大規模ビジネス(月商2,500万円以上) |
Shopify Plus | $2,300〜 | - | 無制限 | 大企業・B2B・複数ブランド展開 |
Shopifyは、事業規模に応じて段階的にプランをアップグレードできるため、小さく始めて大きく育てることが可能です。また、豊富なデザインテンプレート(テーマ)や、機能を追加できるアプリが揃ったエコシステムも大きな強みです。特に、多言語・多通貨対応や海外送料の自動計算など、越境ECに必要な機能が標準で備わっている点は、グローバル展開を目指す事業者にとって魅力的です。
自社ECとモール型ECの比較
ECサイトには大きく分けて「自社EC」と「モール型EC(楽天市場、Amazonなど)」があります。それぞれの特徴を理解して選びましょう。
項目 | 自社EC(Shopify等) | モール型EC |
---|---|---|
初期費用 | 低〜中 | 高 |
月額コスト | 低 | 高(出店料+販売手数料) |
集客力 | 自力で集客が必要 | モールの集客力を活用 |
ブランディング | 自由にブランド構築可能 | 制約が多い |
顧客データ | 100%自社で保有 | 一部制限あり |
デザイン自由度 | 高 | 低 |
長期的に見ると、自社ECで顧客データを蓄積し、ブランドを育てる方が資産になります。モール型ECは即効性がありますが、コストが高く、プラットフォームに依存するリスクがあります。
※理想は自社ECをメインにしつつ、モール型ECも併用する「マルチチャネル戦略」です。Shopifyなら、楽天やAmazonとも連携できます。
プラットフォーム選定のフレームワーク:事業規模との整合性
Shopify以外にも、BASE、STORES、EC-CUBEなど、様々なプラットフォームがあります。自社ECサイトの構築方法は多岐にわたり、それぞれに適した事業規模が存在します。
ECプラットフォーム構築方法の比較:
構築方法 | 年商規模の目安 | 初期費用 | 月額費用 | カスタマイズ性 |
---|---|---|---|---|
無料ASP | 〜1億円 | 0円 | 0円(決済手数料あり) | 不可 |
有料ASP | 〜1億円 | 〜10万円 | 〜10万円 | 不可 |
オープンソース | 1億円〜5億円 | 0円〜(制作費は別途) | 10万円〜 | 可能 |
クラウドEC (SaaS) | 1億円〜20億円 | 300万円〜 | 10万円〜 | 可能(一部制限あり) |
パッケージ | 1億円〜 | 500万円〜 | 10万円〜 | 可能 |
フルスクラッチ | 50億円〜 | 数千万円〜 | 数十万円〜 | 可能 |
- ASP (無料/有料):BASEやMakeshopに代表される、クラウド上のシステムをレンタルする形態。低コストで迅速に開始できるが、デザインや機能のカスタマイズ性は低い。年商1億円未満の小規模事業者に適しています。
- オープンソース:EC-CUBEなど、無料で公開されているソースコードを基に自社で構築する形態。高い自由度を持つが、専門的な技術知識とサーバー管理が必須。
- クラウドEC / パッケージ:ecbeingやShopify Plusなど、ASPの手軽さとパッケージの高い拡張性を両立させた現代的な選択肢。中規模から大規模(年商1億円以上)の事業者に適しており、外部システムとの連携や独自の機能開発が可能です。
選定時のチェックポイント:
- コスト構造:初期費用、月額費用、決済手数料の合計
- 機能の充実度:必要な機能が標準で使えるか
- カスタマイズ性:将来的な拡張が可能か
- サポート体制:日本語対応やコミュニティの充実度
- 実績と信頼性:セキュリティやダウンタイムの少なさ
最適な戦略は、必ずしも「どちらか一方」を選択することではありません。多くの成長企業は、まずモール型ECで商品をテストし、初期の顧客を獲得しながらブランドの認知度を高めます。そして、そこで得た資金と顧客データを基に、ブランドの旗艦店として自社ECサイトを構築・育成していくハイブリッド戦略を採用しています。モールを「出会いの場(集客チャネル)」、自社ECサイトを「ファンを育てる場(利益とLTVの最大化)」と位置づけることで、短期的な売上と長期的なブランド資産構築の両立が可能になります。
ステップ4:サイト設計とデザイン制作
プラットフォームが決まったら、いよいよサイト設計とデザインに入ります。ここでのポイントは、「見た目の美しさ」だけでなく、「売れる仕組み」を作ることです。
ユーザー導線の設計
ECサイトで最も重要なのは、ユーザーがスムーズに購入まで辿り着けるかです。導線設計では、以下を意識しましょう。
- トップページから商品ページへ:3クリック以内で目的の商品に到達できるか
- 商品ページからカートへ:購入ボタンが分かりやすいか
- カートから決済完了まで:入力項目を最小限にし、離脱を防ぐ
また、回遊性を高める工夫も重要です。関連商品の表示、「この商品を買った人はこんな商品も」のレコメンド機能、人気ランキングなどで、客単価を上げることができます。
商品ページの最適化:「結・起・承・転」の構成
商品ページは、ユーザーが購入を最終決定する最も重要な場所です。売れる商品ページは、一般的な物語の「起承転結」とは異なり、最初に結論(顧客が得られる未来)を提示する「結・起・承・転」の構成が基本とされています。
高コンバージョン率を誇る商品ページの4要素:
-
1. ファーストビュー(結):ユーザーがページを開いて最初に目にする領域。ここで興味を引けなければ即座に離脱されます。
- 魅力的なキャッチコピー
- 商品の使用シーンが想像できる高品質な画像(複数アングル、拡大表示、着用イメージ)
- 「売上No.1」「〇〇賞受賞」といった権威づけ(信頼の証)
- 2. 共感(起):「こんなお悩みありませんか?」と顧客の課題を具体的に提示し、「これは自分のための商品だ」と感じさせる導入部
- 3. ベネフィットの提示(承):商品の機能(Feature)や他社製品との優位性(Advantage)を説明するだけでなく、その商品を使うことで顧客の生活がどのように豊かになるかという価値(Benefit)を伝える
-
4. 社会的証明とクロージング(転):
- 顧客の声(レビュー)、導入実績、専門家の推薦などを掲載
- 「期間限定20%オフ」「残り在庫3点」といった希少性や限定性を演出
- 明確な価格表示(税込価格、送料、ポイント還元など)
- 配送情報(「○時までの注文で翌日配送」など具体的に)
また、FAQセクションを設けることで、問い合わせを減らしつつ、購入時の不安を解消できます。「サイズ感は?」「返品・交換は可能?」「ギフトラッピングは?」といった頻出の質問に事前に回答しておくことで、購入へのハードルを下げることができます。
スマホファーストのデザイン
現在、ECサイトの70%以上がスマホからのアクセスと言われています。そのため、スマホでの見やすさ・使いやすさを最優先に設計する「モバイルファースト」の考え方が必須です。
スマホ対応で押さえるべきポイント:
- 読み込み速度:画像最適化で3秒以内に表示
- タップしやすいボタンサイズ:最低44px×44pxを確保
- 縦長レイアウト:スクロールしやすい構成
- フォーム入力の簡略化:住所の自動入力、郵便番号連携など
- 固定ヘッダー:カートやメニューへすぐアクセスできる
Shopifyのテーマは基本的にレスポンシブ対応していますが、実機でのテストは必須です。iPhone、Androidの両方で動作確認を行いましょう。
※私たちの自社サイトでは、スマホからのアクセスが85%を占めています。ページ速度を改善したことで、直帰率が15%低下しました。
ステップ5:ECサイトの開発・構築
設計が固まったら、実際にサイトを構築していきます。Shopifyの場合、テーマ選定とカスタマイズがメインの作業になります。
テーマ選定とカスタマイズ
Shopifyには、無料・有料合わせて数千種類のテーマがあります。テーマ選びのポイントは以下の通りです。
- 業種・商材に合ったデザイン:アパレル、食品、雑貨など、商材に適したレイアウト
- 必要な機能が含まれているか:メガメニュー、クイックビュー、商品フィルタリングなど
- レスポンシブ対応:スマホでの表示が最適化されているか
- ページ速度:Lighthouse スコアが高いテーマを選ぶ
- サポートとレビュー:更新頻度やユーザー評価を確認
無料テーマでも十分な機能がありますが、独自性を出すならカスタマイズが必須です。私たちFITONLINEは、Liquidコードのカスタマイズやオリジナルテーマ開発も手がけています。
必須機能の実装
ECサイトには、最低限実装すべき機能があります。以下は優先度が高い機能です。
- 商品検索機能:キーワードやカテゴリーで絞り込み
- カート機能:カート内編集、保存機能
- 会員登録・ログイン:リピート購入を促進
- お気に入り・ウィッシュリスト:購入検討中の商品を保存
- レビュー機能:Judge.meなどのアプリを活用
- メールマーケティング:カゴ落ちメール、リピート促進メール
- 在庫管理:リアルタイムの在庫表示
Shopifyの場合、アプリストアから簡単に機能を追加できます。ただし、アプリを入れすぎるとページ速度が遅くなるので、必要最小限に絞りましょう。
おすすめのShopifyアプリ:
- Judge.me:商品レビュー
- Klaviyo:メールマーケティング
- Yotpo:レビュー・UGC活用
- PageFly:ランディングページ作成
- ReConvert:サンキューページ最適化
SEO対策の基本設定
ECサイトで長期的に売上を伸ばすには、SEO対策が欠かせません。検索エンジンからの自然流入を増やすことで、広告費をかけずに集客できます。
Shopifyで押さえるべきSEO設定:
- ページタイトルとメタディスクリプション:各ページに適切なキーワードを設定
- URL構造の最適化:シンプルで分かりやすいURLに
- 画像のalt属性:すべての画像に説明文を追加
- 構造化データ:商品情報、レビュー、パンくずリストなど
- サイトマップ送信:Google Search Consoleに登録
- ページ速度改善:画像圧縮、不要なアプリの削除
また、コンテンツSEOも効果的です。私たちの自社サイトでは、Shopifyに関する実践的な記事を継続的に発信することで、広告費ゼロで月間5万PVを達成しました。
ステップ6:決済・配送・運用体制の整備
サイトが完成に近づいたら、決済・配送・運用体制を整えます。ここが不十分だと、購入後のトラブルや顧客満足度の低下につながります。
決済方法の設定
ECサイトでは、複数の決済方法を用意することが重要です。支払い方法が限られていると、それだけで購入を諦めるユーザーもいます。
決済方法は、顧客が購入プロセスの最終段階で直面する重要な選択肢です。希望する決済手段がない場合、顧客は購入を断念する(カゴ落ち)可能性が高まります。日本のECサイトにおける決済方法の利用率は、クレジットカードが75.7%と圧倒的に高く、次いでコンビニ決済、電子マネー決済と続きます。
主要決済方法の手数料比較:
決済方法 | 手数料の目安 | 特徴 |
---|---|---|
クレジットカード | 決済額の3%〜5% | 最も利用率が高く、必須の決済手段。VISA、Mastercard、JCB、AMEXに対応 |
QRコード決済 (PayPayなど) |
決済額の0%〜3% | 若年層を中心に利用が拡大。手数料が比較的低い |
キャリア決済 | 決済額の5%〜10% | スマートフォンでの購入と親和性が高いが、手数料は高め。ドコモ、au、ソフトバンク |
コンビニ決済 | 1件あたり100円〜300円 | クレジットカードを持たない層に需要がある |
後払い決済 | 決済額の2.5%〜 | 商品到着後に支払える安心感から利用者が増加 |
代金引換 | 1件あたり300円〜 | 配送業者への手数料が発生。受け取り拒否のリスクがある |
これらの多様な決済方法を個別に契約・導入するのは煩雑なため、多くの事業者は決済代行サービス(PSP)を利用します。Shopifyでは、Shopify Paymentsを利用すれば、主要な決済方法を一括で導入・管理することが可能になります。
※決済手数料は売上に直結するコストです。各決済サービスの手数料を比較し、自社に最適なものを選びましょう。
配送オプションの選定
配送は、顧客満足度を左右する重要な要素です。配送スピードと送料のバランスを考えて設定しましょう。
商品の配送は、顧客が物理的にブランドと接する重要なタッチポイントです。迅速かつ丁寧な配送は、顧客満足度を大きく左右します。
主要配送キャリアの比較(2024年時点):
配送キャリア | 60サイズ料金(東京→大阪) | 特徴 |
---|---|---|
ヤマト運輸 | 1,060円 | 配送品質とブランドイメージが高い。クール宅急便や宅急便コンパクトなどサービスが豊富 |
佐川急便 | 1,040円 | 大口・法人契約に強く、割引率が高い傾向がある。大型荷物の配送にも対応 |
日本郵便 | 990円 | 全国一律のサービス(レターパック、クリックポスト)が充実。郵便局への持ち込み割引がある |
配送設定のポイント:
- 配送業者の選定:商品のサイズや重量、配送エリア、クール便の要否などを考慮し、複数のキャリアを使い分ける、あるいは一社と大口契約を結び割引率を高める
- 配送スピード:翌日配送、2〜3日配送など複数の選択肢を用意
- 送料設定:全国一律、地域別、購入金額による送料無料ラインなど
- 時間指定:午前中、14〜16時など細かく設定
- 追跡サービス:配送状況をリアルタイムで確認できる
特に、アクセサリーや化粧品などの小物には、日本郵便の「クリックポスト」(全国一律185円)やヤマト運輸の「ネコポス」といった低価格なメール便サービスを活用することで、送料を大幅に削減できます。
近年は、送料無料が購入の決め手になることが多いです。「○○円以上購入で送料無料」というラインを設定することで、客単価を上げる効果もあります。私たちが保守を担当していたサイトでは、送料無料ラインを8,000円から7,000円に下げたところ、平均購入単価が上がり、結果的に利益率も向上しました。
カスタマーサポート体制の構築
ECサイト運営では、カスタマーサポートが顧客満足度とリピート率に大きく影響します。問い合わせ対応が遅い、不親切だと感じると、二度と購入してもらえません。
サポート体制で整備すべきこと:
- 問い合わせ窓口:メール、電話、チャット、LINEなど
- FAQ・ヘルプページ:よくある質問をまとめて問い合わせを減らす
- 返品・交換ポリシー:明確なルールを提示し、安心感を与える
- 対応時間:平日9〜18時など、明確に記載
- レスポンス時間:24時間以内の返信を目標に
小規模でスタートする場合は、チャットボットや自動返信メールを活用して、効率化を図りましょう。Shopifyなら、Tidio、Gorgias、Re:amaze などのアプリが便利です。
また、購入後のフォローメールも重要です。商品発送通知、到着確認、レビュー依頼などを自動化することで、顧客とのコミュニケーションを継続できます。
ステップ7:テスト運用と本番公開
いよいよ最終段階です。公開前に徹底的なテストを行い、万全の状態でローンチしましょう。
動作確認とテスト購入
公開前に、実際にテスト購入を行い、ユーザー目線で問題がないか確認します。以下のポイントをチェックしましょう。
- 商品検索:キーワード検索、カテゴリー検索が正しく動作するか
- 商品ページ:画像、説明文、価格、在庫が正しく表示されるか
- カート機能:商品追加、削除、数量変更がスムーズか
- 決済フロー:各決済方法で実際に購入できるか
- 注文完了メール:自動送信メールが届くか、内容は適切か
- 管理画面:注文が正しく記録されるか
また、複数のデバイス・ブラウザでテストすることも重要です。
- iPhone(Safari)
- Android(Chrome)
- PC(Chrome、Safari、Edge、Firefox)
- タブレット(iPad など)
公開前のチェックリスト
公開前に、以下のチェックリストを確認しましょう。一つでも漏れがあると、トラブルの原因になります。
項目 | チェック内容 |
---|---|
商品登録 | 全商品の画像・説明・価格・在庫が正しいか |
決済設定 | すべての決済方法が有効化されているか |
配送設定 | 送料・配送方法・配送地域が正しいか |
税設定 | 消費税が正しく計算されるか |
SEO設定 | タイトル・メタディスクリプション・altテキスト |
利用規約 | 特定商取引法、プライバシーポリシーが整備されているか |
SNS連携 | OGP画像、SNSリンクが正しく設定されているか |
Google Analytics | トラッキングコードが正しく設置されているか |
メール設定 | 各種自動送信メールのテンプレートが適切か |
※特に「特定商取引法に基づく表記」は法的に必須です。事業者名、住所、電話番号、返品ポリシーなどを必ず記載しましょう。
公開後の改善サイクル
ECサイトは、公開してからが本当のスタートです。データを分析しながら、継続的に改善していくことが成功の鍵です。
公開直後にやるべきこと:
- アクセス解析の設定:Google Analytics、Google Search Console、Shopifyの管理画面
- 広告運用の開始:Google 広告、Facebook広告、Instagram広告
- SNS運用:Instagram、X(Twitter)、LINEなどでの情報発信
- メールマーケティング:新規登録者へのウェルカムメール、定期的なニュースレター
そして、以下のKPIを定期的にチェックし、改善施策を実施します。
- アクセス数:訪問者数、ページビュー
- コンバージョン率:訪問者のうち何%が購入したか
- 平均購入単価:1回の購入でいくら使われたか
- カート離脱率:カートに入れたのに購入しなかった割合
- リピート率:再購入してくれる顧客の割合
売れるECサイトを作るために押さえるべきポイント
ここまで7つのステップを解説してきましたが、最後に長期的に成功するために押さえるべきポイントをまとめます。
継続的な改善の重要性:A/Bテストによる最適化
ECサイトは「作って終わり」ではありません。継続的な改善(PDCAサイクル)を回すことが、成長の鍵です。その中心的な手法がA/Bテストです。
A/Bテストとは:
ウェブページの一部分(例:ボタンの色、キャッチコピーの文言)について2つのパターン(AとB)を用意し、どちらがより高い成果(例:クリック率)を出すかを実際にユーザーに表示して比較検証する手法です。
A/BテストのPDCAサイクル:
- Plan(計画):データ分析に基づき、「ボタンの色を赤色に変えれば、より緊急性が伝わりクリック率が上がるのではないか」といった仮説を立てる
- Do(実行):A/Bテストツールを使い、訪問者の一部にAパターン(元のデザイン)、残りにBパターン(新しいデザイン)を表示する
- Check(評価):一定期間データを収集し、どちらのパターンのコンバージョン率が高かったかを統計的に分析する
- Action(改善):成果が高かったパターンを本格的に採用し、そのテストから得られた知見を基に次の改善仮説を立てる
A/Bテストで検証すべき要素の例:
- 商品のモデル写真(男性から女性に変更)
- 購入ボタンのデザイン(色、サイズ、文言)
- チェックアウトプロセスの簡略化(入力項目の削減)
- 商品説明のトーン(専門的 vs カジュアル)
- 価格表示の方法(税抜 vs 税込)
多くのビジネス上の意思決定は、経験や勘、あるいは「社内で最も声の大きい人物の意見」に依存しがちです。しかし、A/Bテストは、そうした主観を排除し、顧客の実際の行動という客観的なデータに基づいて意思決定を行うための強力な仕組みです。
私たちが保守を担当したサイトでの改善事例:
- 商品ページの画像を増やす → 購入率15%アップ
- カート内のレコメンド機能を追加 → 客単価20%アップ
- 送料無料ラインを8,000円から7,000円に調整 → 平均購入単価1.5倍
- 決済ページの入力項目を削減 → 離脱率25%減少
このような小さな改善の積み重ねが、3年間で売上391%アップという大きな成果につながりました。サイトのあらゆる要素を「検証すべき仮説」と捉え、継続的に実験を繰り返す「実験文化」を組織に根付かせることが、ECビジネスにおける持続的な成長の最も強力なエンジンとなります。
データ分析と施策立案
改善を進めるには、データに基づいた意思決定が不可欠です。感覚や勘だけで判断せず、数字を見て施策を考えましょう。
分析すべき主な指標:
指標 | 目安 | 改善施策 |
---|---|---|
コンバージョン率 | 1〜3% | 商品ページ改善、決済フロー見直し |
カート離脱率 | 70%以下 | 送料表示の明確化、入力項目削減 |
平均購入単価 | 業種による | セット商品、送料無料ライン設定 |
リピート率 | 20%以上 | メールマーケティング、ポイント制度 |
直帰率 | 40%以下 | ページ速度改善、コンテンツ充実 |
また、ヒートマップツール(Hotjar、Microsoft Clarityなど)を使うと、ユーザーがどこをクリックしているか、どこで離脱しているかが視覚的に分かります。
オムニチャネル集客戦略:広告指標の理解と最適化
どんなに優れたサイトを作っても、集客ができなければ売上は上がりません。複数のチャネルを組み合わせた「マーケティングポートフォリオ」を構築することが重要です。
主な集客チャネルと特性:
集客チャネル | コスト | 即効性 | 持続性 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
SEO | 低(人件費) | 低 | 高 | 検索エンジンからの自然流入を獲得。コンテンツが資産となる |
Web広告 | 高(継続的) | 高 | 低 | 即座にターゲット顧客にリーチ可能。予算に応じてスケールしやすい |
SNSマーケティング | 中 | 中 | 中 | コミュニティを形成し、ブランドのファンを育成。拡散による認知拡大 |
CRM(メール、LINE) | 低 | 高 | 高 | 既存顧客への再アプローチ。最も費用対効果が高い |
広告効果を測定する重要指標:
- ROAS (Return On Ad Spend / 広告費用対効果):広告費1円あたりで得られた売上を示す指標。計算式は「売上 ÷ 広告費 × 100 (%)」。EC業界では、一般的に400% (4:1) 以上が良好な水準とされます。例:10万円の広告費で40万円の売上 → ROAS 400%
- CPO (Cost Per Order / 顧客獲得単価):1件の注文を獲得するためにかかった広告費用。計算式は「広告費 ÷ 注文数」。CPOは、顧客生涯価値(LTV)との比較で評価する必要があります。例:10万円の広告費で50件の注文 → CPO 2,000円
事業成長フェーズに応じた集客戦略の進化:
ECサイトの成長戦略は、事業の成熟度に応じてマーケティングチャネルの組み合わせを変化させていくプロセスです。
- 立ち上げ初期(0〜6ヶ月):ブランドの認知度がなくオーガニックな流入も期待できないため、Web広告を活用して即座にトラフィックを獲得し、初期の顧客データと売上を確保することが不可欠です。
- 成長期(6ヶ月〜2年):初期段階から並行して、SEO対策のためのコンテンツ制作や、最初の顧客からのメールアドレス・LINE友だち登録といったCRM基盤の構築といった、長期的な資産となる施策に投資します。
- 成熟期(2年以降):SEOの効果が現れ始め、オーガニック検索からの安定した流入が確保できるようになると、高コストな広告への依存度を段階的に下げていくことができます。蓄積された顧客リストに対するメールやLINEでのアプローチが、極めて低いCPOでリピート購入を促進する、最も収益性の高いチャネルへと成長していきます。
私たちの自社サイトでは、SEO+コンテンツマーケティングに注力することで、広告費ゼロで月間5万PVを達成しました。時間はかかりますが、一度作ったコンテンツは資産として残り続けます。
※各チャネルは相互に補完し合います。広告で得たデータがSEO戦略を洗練させ、SEOが広告依存を軽減し、すべてのチャネルがCRMという長期的な利益の源泉を育てます。戦略的な課題は、事業の成長フェーズに合わせて、このポートフォリオへの予算配分を最適化し続けることにあります。
まとめ:成功するECサイトは計画的な構築から
この記事では、売れるECサイトの作り方を7つのステップで解説してきました。最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
- ステップ1:市場調査とコンセプト設計 - ターゲット、競合、USPを明確にする
- ステップ2:取扱商品と販売戦略の決定 - 収益性の高い商品と価格戦略を選ぶ
- ステップ3:ECプラットフォームの選定 - Shopifyなど、将来性のあるプラットフォームを選ぶ
- ステップ4:サイト設計とデザイン制作 - ユーザー導線とモバイルファーストを重視
- ステップ5:ECサイトの開発・構築 - テーマ選定、必須機能、SEO対策を実装
- ステップ6:決済・配送・運用体制の整備 - 顧客満足度を高める体制を構築
- ステップ7:テスト運用と本番公開 - 徹底的なテストと公開後の改善サイクル
そして何より重要なのは、「公開後も継続的に改善し続けること」です。
私たちFITONLINEは、これまで50件以上のShopifyサイトを構築し、年商80億円の企業様のサイト開発や、保守期間3年で売上391%アップという実績を積み重ねてきました。また、自社サイトでは広告費ゼロで月間5万PVを達成しています。
これらの成功事例に共通するのは、計画的な構築とデータに基づいた継続的な改善です。最初から完璧なサイトを作ることはできませんが、正しい方向で努力を続ければ、必ず成果は出ます。
この記事が、あなたの「売れるECサイト」づくりの第一歩になれば幸いです。ぜひ、今日から行動を始めてみてください。
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